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「不用」「役に立たない」「なくても困らない」

が価値を持つような裏返しの世界を

​見つけるしかないのだ

穂村弘「整形前夜」である。

「世界は『用』『役に立つ』『なくては困る』によって支配されている。~略~

『変』や『怪しい』や『あぶない』を避けて、人々はひたすら『生き延びる』ために頑張ろうとする。」

生き延びるだけだったら、味気ないと思ってしまうのは自分だけなのだろうか。

そして、「生き延びる」ことについて描いた作品が「人間失格」だという。

「『人間失格』には、『生き延びる』がぴんとこない人間とはどういうものか、

また、彼がこの世界でどれほどおそろしい目に遭うか、が完璧に描かれている」

多分私は、生き延びることにぴんとこない方の人間で、

だましだまし生きているのかなぁと思う。でも太宰の人間失格がこれほど読まれて支持されているのは、

みんな多かれ少なかれ、仮面をかぶって生きているのだろうな。

​早く仮面を脱ぎ捨てることができるような裏返しの世界を見つけなければ......。

(2016.07.21)

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